我々が日常生活で目にする物質の性質は、その巨大な全体像のごく一部に過ぎません。 物質は、周囲の温度・圧力・磁場などの環境に応じて極めて多彩な物性を示します。 とりわけ日常的な環境からかけ離れた”極限環境”の世界では、物性が知り尽くされていると思われていた物質でさえも、想像を超えた知られざる一面を見せることがあります。このように我々の常識が通用しない極限環境の世界は、これまで知られていない新奇物性探索のための広大な未踏領域と言えます。
私たちは極限環境下における誰も見たことのない物理現象を発見し、その発現機構を解明することを目指して研究を行っています。そのために低温・強磁場・高圧力下での独自測定技術を開発し、それを用いて物質の電子状態を調べています。私たちの技術によって、これまで圧力下の黒リンにおけるノーダルリング半金属状態の実現・LaAgSb2における超伝導の発見および電荷密度波との密接な関係などを明らかにしてきました。また学外の研究者と協力することで、私たちの技術を生かした共同研究にも積極的に取り組んでいます。